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アデノウイルス感染症Q&A

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A. かぜの原因となる多くのウイルスの中でとても重要なウイルスの一つです。ちなみにアデノという言葉は、元来「腺(せん)」という意味ですが、これはこのウイルスがアデノイド(咽(のど)の扁桃腺(へんとうせん)が肥大したもの)と深い関係があると考えられたことからついた名前とされています。
A. かぜのウイルスには、アデノウイルスの他にライノウイルス、RSウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど数限り無いと言って良いほど多くの種類のウイルスがあります。また、それぞれのウイルスは、色々な手法で更に細かく分類されています。それに、インフルエンザも江戸時代には有名な相撲取りの谷風がかかったことからそのまま谷風(たにかぜ)と呼ばれた時期がありました。
A. いま挙げたインフルエンザの他、麻疹(ましん)、風疹(ふうしん)、おたふくかぜなどはっきりした特徴的症状をもったかぜを除くと、他のウイルスによるかぜは、ウイルス独自の特徴のある症状がありません。
これらのかぜの中で比較的重く、また多様な症状を示すのがアデノウイルスによるかぜです。高い熱が4日も5日も長く続き、目や胃腸にも症状を出すかぜのウイルスはそれほど多くはありません。
A. アデノウイルスは、いわゆるかぜの他に「プール熱」や「はやり目」と一般に呼ばれている病気の原因となっています。「プール熱」は咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)、はやり目は流行性角結膜炎(かくけつまくえん)というのが正式の病名です。他に、肺炎、胃腸炎、膀胱炎、発疹などの様々な症状を引き起こします。
このように色々な症状を引き起こす理由は、アデノウイルスは血清型という分類法で現在のところ51種類に分類することが出来、この51種類がそれぞれに異なった性質を持っているからです。ちなみにこのうちの1/3は、病気を引き起こすことは無いとされています。
A. 夏にプールで感染することが多かったためこの名前が付きました。しかし、勿論、プールだけで感染するわけではありません。咳(せき)やくしゃみ(飛沫(ひまつ))、接触、便など色々な形でアデノウイルスは口、鼻、咽(のど)、目の粘膜などから侵入し全身に広がります。潜伏期間は5〜7日で、症状が出る2日前から他の人へうつります。1日の間に40°Cと37°Cの間を上がったり下がったりする弛張熱が4〜5日続き、扁桃腺(へんとうせん)が腫はれ、のどの痛みが出現します。頭痛、腹痛、下痢(げり)、耳の前や首のリンパ腺(せん)が腫はれることがあります。両目または片目が真っ赤に充血し、目やにが出ることもまれではありません。症状がインフルエンザに似ているため、「夏のインフルエンザ」という別名もあります。血清型の3型と4型のアデノウイルスが主な原因です。
A. これは一般には「はやり目」と言ったほうが分かりやすいかもしれません。アデノウイルスのついた指や手で目をこすることによっておこります。潜伏期間は一週間またはそれ以上で、眼科の病気としては発病まで長い時間がかかります。白目(結膜(けつまく))が真っ赤になり目やにや涙がたくさんは出ます。またまぶたが腫れます。放置しておくと黒目(角膜(かくまく))にまで炎症が進行し、目の異物感や痛みが出てきます。角膜(かくまく)に混濁(こんだく)が起こると数年続くこともあります。まれに視力障害を残すこともあります。様子を見ていないで早めに受診しましょう。血清型で8型、19型、37型のアデノウイルスが主な原因です。
A. プールに入らなくても飛沫(ひまつ)や糞便(ふんべん)を通してこの病気に感染します。ですから、予防法としては、うがい、石鹸(せっけん)による手洗い、タオルの共用を避ける、水泳前後のシャワーの励行、目を洗う、プールの塩素消毒などがあります。流行が大きいとプールを一時閉鎖する必要がある場合もあります。
A. 「プール熱」は学校伝染病の一つであり、発熱、咽頭炎(いんとうえん)、結膜炎(けつまくえん)などの症状がなくなった後も2日間は登校禁止となっています。ただし、病状により伝染の恐れが無いと医師が判断した場合にはもっと早く学校に行けます。
一方、流行性角結膜炎(かくけつまくえん)の場合は目の症状が軽くなってからも感染力の残る場合があり、医師が伝染の恐れが無いと判断するまで出席停止となります。なお、アデノウイルス感染症になると1カ月位の間、ウイルスは便の中に出続けます。但し、この場合の感染力はさほど強くなく、手洗いなどの一般的な予防方法の励行で登校は可能とされています。
A. いいえ、まれな病気ではありません。とても多い病気です。小児のかぜの約10%がアデノウイルスが原因で起こっていると言っている学者もいます。
A. 「プール熱」という別名があるように咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)の最盛期は、皆がプールに入る春から夏にかけてです。しかし、感染自体はいつでもおこっていて、季節を問わず一年中あります。冬場には、かぜの原因として蔓延(まんえん)することがあります。
A. 肺炎、閉塞性細気管支炎(へいそくせいさいきかんしえん)、心筋炎(しんきんえん)、出血性膀胱炎(しゅっけつせいぼうこうえん)、急性下痢(きゅうせいげり)、腸重積(ちょうじゅうせき)、脳脊髄炎(のうせきずいえん)、ライ症候群など多様で重篤な病気を、まれに起こすことがあります。
A. Q4にあるようにアデノウイルスは、AからFの亜型(あがた)に分類され、血清型では51に分けられています。
このようにアデノウイルスは亜型が多く、血清型も多様な上、このウイルスには免疫がつきにくいことも知られています。一つの型のアデノウイルスに罹患しても、まだかかったことの無いアデノウイルスには無防備です。このため、アデノウイルス感染症には何回もかかるのです。
A. かつては、症状や病歴、流行状況などから推定していました。現在も、この原則はかわりません。しかし、今は疑えばすぐにインフルエンザの迅速診断キットのような簡単で確実に診断が出来る便利な検査薬が出来ています。これは、綿棒で咽(のど)や目をこすって取った検体を材料とするもので、これを試薬に作用させると15分くらいで結果がわかります。
A. とてもたくさんあります。プール熱と似た症状を示す病気としては、溶連菌感染症(ようれんきん)、川崎病、インフルエンザ、細菌性呼吸器感染症、マイコプラズマ感染症などが挙げられます。はやり目に関してはヘルペス、クラミジア、淋菌(りんきん)などの感染症があります。下痢(げり)などの消化器症状には、他の下痢を起こす病気と鑑別する必要があります。これらの病気には、効果の高い治療法がなく、重篤な合併症を起こすことがある病気もあります。
A. 残念ながら、今のところアデノウイルスに効く特効薬はありません。また、ワクチンも、今、一般に使われているものはありません。研究者たちは、特効薬やワクチンの研究をしており、それなりの成果は挙げていますが、まだ広く実用化されるという段階にはありません。 このため、症状にあわせてこれを軽減する対症療法が中心となります。高熱が続き食欲が無い時は、脱水状態を防ぐために水分の補給が大切です。必要に応じて、抗生物質やステロイドが用いられることがありますが、これとて決め手となる治療ではありません。
A. 脱水状態は高熱や下痢、嘔吐によって起こりやすく、命に関わる場合もあります。また水分だけではなく、体内の水分バランス維持に欠かせないNa(ナトリウム)やK(カリウム)などの電解質も多く失われます。そんな時、水分、電解質、糖などの組成に配慮した点滴や経口補水(ORS:Oral Rehydration Solution)による脱水状態の改善が必要です。経口補水液は医師にレシピを聞いて家庭で作ることもできますが、薬局などでも容易に購入可能です。対処法については、医師に相談しましょう。
A. 自分で勝手にかぜと判断せず、かかりつけの医師に速やかに相談し、病状の評価と正確な診断をしていただき適切な処置をしていただくことが大切です。 「生兵法(なまびょうほう)は怪我のもと」です。自分だけで思い悩まずに、早く受診しましょう。

監修:松永 貞一先生

医療法人社団松緑会 永寿堂医院 院長
昭和薬科大学大学院臨床薬学客員教授
東京慈恵会医科大学小児科臨床医長

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