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ノロウイルスQ&A

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A. 食中毒の原因ウイルスとしてよく知られています。ノロウイルスによる胃腸炎とは、ノロウイルスが付着したり含んでいる食品を食べたり、またノロウイルス感染者の便・嘔吐物(おうとぶつ)、それらに汚染された人の手などを介して、ウイルスが人の口から体内に入って感染し発症する急性胃腸炎です。保育園・学校・高齢者施設などでは集団感染の恐れがあります。
A. ノロウイルスが初めて認知されたのは1968年のこと。アメリカのオハイオ州ノーウォークの町の小学校で急性胃腸炎患者が集団発生し、その原因がウイルスであることがわかりました。その当時は町の名にちなんでノーウォークウイルスと呼ばれていましたが、2002年の国際ウイルス学会で「ノロウイルス」と正式に命名されました。ノロウイルスには多くの種類があり、14の遺伝子型を持つグループⅠ、21の遺伝子型を持つグループⅡに分かれていますが、このほかグループⅢ、グループⅣ、グループⅤなどのノロウイルスが報告されています。
これら遺伝子の違いによって症状が重症化する度合いも異なってきますが、人に感染するのはグループⅠとⅡです。ノロウイルスは人の腸の細胞で増殖します。しかし、培養細胞によるウイルスの分離や動物を使った感染実験が不可能です。そのため、ウイルスの効率よい消毒方法やワクチンの開発が困難となっています。
A. ノロウイルスは人の口から体内に取り込まれることで感染します。また、一度感染しても半年ぐらい免疫がありますが、それ以降になると、また感染します。感染経路としては以下のようなものが考えられます。
  • 感染者の便や嘔吐物(おうとぶつ)に直接接触する、あるいは排便後に十分に手を洗わず握ったドアノブなどから次の人に感染。
  • 感染者の便や嘔吐物が乾燥して、付着したほこりとともに空気中で漂い出し、それらを呼吸と共に吸引したり、そのほこりを付着した食物、床・壁・衣服・手などから口を通して体内に入れてしまった場合。
  • 感染している、あるいは感染直後の調理従事者が、ウイルスの付いたままの手で調理した様々な食材を食べる、あるいは汚染された調理器具・食器などを使用した食材から感染する場合。
  • 汚染されたカキなどの二枚貝を十分に加熱せずに食べた場合。
A. 注意しなければならない大きな落とし穴です。感染後、症状がなくなった場合でも、小児は約1カ月(以上)、成人でも約3週間(以上)もの間、便中にノロウイルスを出し続けています。ですから、用便後の手洗いが不十分であると、食品等を容易に汚染し、感染源となることがあります。Q3の調理従事者による感染の多くはこれが原因となります。
A. 1年を通して発生していますが、冬場を中心に晩秋から春へと発生件数が多くなります。例年は12月から1月にかけてピークを迎える傾向にあります。
A. 感染してから発症するまでの潜伏期間は約24〜48時間です。主な症状は嘔吐(おうと)・下痢(げり)・吐き気・腹痛で、嘔吐や下痢は1日数回、ひどい時は1日10回以上にも及びます。発熱や悪寒(おかん)を伴うこともありますが、発熱してもそれ程高熱にはなりません。3〜4日で症状は治まりますが、脱水症状などの合併症により症状が長引く場合もあります。抵抗力が落ちている乳幼児や高齢者では重症化する場合があります。特に高齢者は嚥下性肺炎(えんげせいはいえん)を起こしたり、嘔吐物がのどにつまって窒息死する場合もあります。
A. 感染者の便や嘔吐物からノロウイルスを検出します。検査方法として電子顕微鏡法、RT-PCR法(遺伝子増幅法)、ELISA法(ノロウイルス抗原検出システム)などがありますが、時間もかかり操作も煩雑で、さらに高価な試薬や特殊な機器が必要です。そのため大病院や地方衛生研究所などの専門検査施設でのみ行われておりました。しかし、診断方法の改良が加えられ、最近は安価で短時間、感度も高い迅速診断キットが開発されました。このイムノクロマト(IC)キットで、一般医療施設での外来受診中や老人介護施設のベッドサイドでも15〜20分程でノロウイルの診断が行えるようになりました。便には大量のウイルスが含まれているので、少量の便で検査することが可能です。
A. ノロウイルスに対して、ウイルスを死滅させる有効な薬(抗ウイルス薬)はまだ開発されていません。多くは3〜4日で症状が取れます。しかし、嘔吐や下痢による高度の脱水症状や肺炎などの合併症が起こる場合がありますので、水分の補給と栄養を十分摂りながら、体力を消耗しないようにするなどの対症療法を行います。
A. 脱水状態は高熱や下痢(げり)、嘔吐(おうと)によって起こりやすく、命に関わる場合もあります。また水分だけではなく、体内の水分バランス維持に欠かせないNa(ナトリウム)やK(カリウム)などの電解質(でんかいしつ)も多く失われます。そんな時、水分、電解質、糖などの組成に配慮した点滴や経口補水液(けいこうほすいえき)(ORS:Oral Rehydration Solution)による脱水状態の改善が必要です。経口補水液は医師にレシピを聞いて家庭で作ることもできますが、薬局などでも容易に購入可能です。対処法については、医師に相談しましょう。
A. ノロウイルスが付着した(汚染した)食品で、しかも、十分に加熱されていないものが原因とされます。ノロウイルス食中毒では食品の鮮度は関係なく、ノロウイルスの汚染の有無が関係します。ノロウイルスに感染している調理従事者が手洗い不十分なまま直接調理した食品に触れたり、ウイルスが調理器具や食器に付着し食品を汚染することもあります。
また、カキが原因になる場合はノロウイルス感染者の便が下水に流れ、下水処理でも死滅しなかったノロウイルスが生活用水に混じって河川に流れ込み、近海や河口のカキの養殖場に到達します。カキなどの二枚貝は、水をたっぷり取り込み循環させながらエサを摂取します(カキは1時間に10〜20リットルの水を循環し食物をろ過します)。その過程の中で、ノロウイルスはカキの中腸腺に蓄積・濃縮されます。生カキとしてあるいは不十分な加熱で食べることによって、そのノロウイルスが人の小腸で増え、急性胃腸炎を起こすのです。
A. まず、食品は中心部までしっかり加熱することです。厚生労働省では「中心温度が85℃以上・1分以上」の加熱調理を推奨しています。また、調理器具、食器などは熱湯処理などして消毒し、調理器具から食品への二次汚染を防ぐことです(Q14参照)。調理従事者は調理前や調理中しっかりと手洗いをし(Q13参照)、また下痢などの症状がある場合は調理作業に携わらないことが大切です。
A. 二次感染予防のポイントは、まず早期診断が行われることです。ノロウイルスは感染力が強く、感染経路も多様です。早期診断がなされないと、二次感染によりさらに三次感染、四次感染と感染が拡大します。また、感染しているのに症状が表に出ない場合(不顕性感染)もあり、気付かない内に感染を拡大させてしまいます(Q4参照)。予防策としては、感染を疑ったらすぐに検査診断し、陽性患者を隔離し対症療法に努めることです。手洗いや消毒の徹底は不可欠ですが、具体的な方法はQ13からQ16をご参照ください。
A. 指輪などは外し、セッケンの泡をよく立てて、流水で十分に洗い流します。感染者の汚物の処理などで手袋を着けていた場合は、手袋を外して汚物処理容器に入れ、その後同様に手洗いします。調理前・食事前・トイレの後・下痢患者などの汚物処理の後・オムツ交換の後など、手洗いのタイミングをしっかり守ることが大切です。
A. 洗剤などで十分に洗浄した後、熱湯消毒をするか、塩素濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸すようにふき、その後十分に水洗します。感染者が使用した食器は厨房に下げる前、できれば、食後に水洗して、すぐに煮沸消毒するか、塩素系漂白剤に十分に浸して消毒します。
 *200ppmの次亜塩素酸ナトリウムの作り方:
  5リットルの水に市販の塩素系漂白剤キャップ1杯を加えます。
  キャップ1杯は約20mLです。
  注)なお、市販の塩素系漂白剤を使用する際には、製品の「使用方法」、「使用上の注意」等をよく読み、
    取扱いに注意してください。
A. 処理の際は、マスク・手袋・使い捨てガウン(エプロン)を必ず着用します。まず便や嘔吐物(おうとぶつ)を静かにティッシュペーパーなどを十分重ねておおい、塩素系漂白剤を薄めずにかけて15〜30分おきます。それから、ビニール袋に包み込んで密封して廃棄します。そのあと200ppmの次亜塩素酸(じあえんそさん)ナトリウム(Q14参照)でふいて、さらに十分な水でふきます。脱色やサビが心配な部分は、市販の消毒用アルコール(濃度約70〜80%)か熱湯で、3回ないし4回ふきます。塩素ガスが残留する場合がありますので空気の流れに注意しながら十分に換気を行います。
A. まず患者さんを個室に隔離することです。床・壁・便器・ドアノブ・リネン類・布団・日用品など、ノロウイルスが付着している可能性のある箇所はすべて消毒します。基本は200ppmの次亜塩素酸(じあえんそさん)ナトリウム(Q14参照)でふいて、その後十分に水でふきます。脱色やサビが心配な部分は、市販の消毒用アルコール(濃度70〜80%)か熱湯で十分にふきとります。トイレや便器などの汚染の強い箇所は1,000ppmの次亜塩素酸ナトリウム**で消毒します。リネン類には高温の乾燥機が、簡単には洗えない布団は布団乾燥機が有効です。
**1,000ppmの次亜塩素酸ナトリウムの作り方:
  1リットルの水に市販の塩素系漂白剤キャップ1杯を加えます。
  注)なお、市販の塩素系漂白剤を使用する際には、製品の「使用法」、「使用上の注意」等をよく読み、     取扱いに注意してください。
A. 一般のご家庭で嘔吐や下痢患者などが出た場合は、すぐにかかりつけ医に相談してください。保育園・学校・高齢者施設などの場合も速やかに医療機関に相談し、最寄りの保健所にご連絡ください。

監修:田中 智之先生

国保日高総合病院 参事・病理専門医

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